梨改め京成直通初の更新車8816編成

新京成と料理レシピと架空鉄道設立準備と

【屋根上を観察】考察~冷房装置&パンタグラフ

鉄道車両の屋根上には欠かせないパーツ。言うまでもなく冷房装置とこれは非冷房車時代からすっかりお馴染みなパンタグラフ。架空鉄道車両のイラストを描く時の参考資料(?)にでも役立ててもらえれば幸いです。

 

 

 

冷房装置

現実にある車両の冷房装置を見てみますと(通勤車両に限る)S40年代に登場した試作冷房車では冷房装置の形状や性能を比較するために国鉄103系の試作冷房車でもそうだったように集中形があれば1両に5~6個も搭載されている小形分散形もあったりと通勤車両では停車頻度やそれに伴う室内旅客の流動、車体形状で言えば片側のドア数、窓の開閉可能の可否など特急車両と比べたら冷房化も通勤車両と特急車両とではやり方を変えなければならないことは明らかで、そのために通勤車両の冷房化に当たってはまず、何タイプかの試作車を新規製造なり改造なりで登場させてその効果や冷房装置取り付けに当たって効率よく取り付け可能な形状だとか保守時の合理性、取付時のコストを確認してから量産冷房車が登場してくるわけですが、量産冷房車では試作冷房車でもっとも結果が良好であったタイプが選ばれて、その形状もまた国鉄通勤、近郊形車両のように改造車も含めて集中形(冷房準備工事車では集中形で冷房化を施工することが前提で集中形冷房装置が搭載されている箇所付近の屋根上に塞ぎ板が乗っていた)だったり、大手私鉄などのように外見上こそ分散形でも室内側の天井は国鉄の集中形冷房装置搭載車のように冷風を送るダクトがあったり平天井になっていたりするケース(ex東武8000系とかほか多くの私鉄通勤車両etc)もあれば、外見上がそうなのだから室内側も冷房装置のある真下のみに冷風吹き出し口があるケース(ex京成系列の鉄道会社の初期冷房車などで見られる)、2~3基の分散冷房装置を1つのキセにまとめたケース(ex小田急の中期~3000形登場以前の冷房通勤車両とか近鉄通勤車両とか新京成8800形にも見られる)とかで国鉄系と比べたら私鉄のほうが形状にバリエーションが豊富でした。しかし、最近では車両製造メーカーの標準仕様とか地域全体での考え方とかで、大手私鉄の場合、関東では集中形が、関西ではJR西日本の通勤・近郊形車両も含めて専ら2分散形が採用されているようです?関東で集中形が多いのはとにかく1両でも多くの車両を製造するにあたり効率的な製造方法と低コスト化を狙ったため、一方で関西で2分散形が専らなのはJR西日本も含めてそうらしいのだが万一の故障した際の予備的な備えとか見栄え(かどうかはわからないが?)、関西地方の鉄道事業者共通の考え方、信念からかと思われます?

 

冷房装置一つとってもその鉄道会社の考え方や信念が伺えてきます。いずれにしても室内の扇風機の併用の有無を冷房装置の形状とともに架空鉄道車両の設定に取り入れても面白いです。

 

 

 

パンタグラフ

こちらは、冷房車が登場するずっと以前のまだ非冷房車の時代からすっかりお馴染みな屋根上を代表するパーツで、電気を動力とする電車の非常に初期の頃は路面電車のような集電ポールから始まり(実際、山手線の最初に登場した電車にはこの集電ポールが使われていた)、連結運転するにあたり集電ポールが邪魔になることから菱形のパンタグラフが登場します。菱形パンタグラフからさらに進化したものが下枠交差形パンタグラフで小形化や省スペース化が図れることが特徴で実際、関東地方の大手私鉄では京成系列の鉄道会社で界磁チョッパ制御車が登場し始めた頃、回生ブレーキ対策でパンタグラフを2基搭載する必要があったものの、冷房装置は分散形を採用していたために従来の菱形パンタグラフのままだと屋根上の冷房装置搭載スペースがなくなってしまうことから省スペース化を図ることが可能な下枠交差形パンタグラフが採用されました。一方で、京急で同じく回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御を採用した800形ではパンタグラフのある車両と中間車では冷房装置のほうを集中形にすることによってパンタグラフとしては菱形で統一させていました。屋根上スペースの関係上、「パンタグラフを工夫するか、それとも冷房装置を工夫するか」の考え方の違いもまた面白いところ。ましてやこの両者が同じ都営浅草線でつながってるところも興味深い。

 

ここで、新京成の車両に取り付けられてるパンタグラフについてのことの話ですが、タヌキくんこと8000形以降の各形式ではパンタグラフ搭載車はすべて2基搭載されていることに気が付きますね?新京成の現行車両では全車VVVFインバーター制御車化が図られてる上、回生ブレーキを使う際の離線対策からです。タヌキくんが下枠交差形(8506編成以降の編成)、8800形が一般的な菱形、8900形以降ではシングルアーム式ですが、8900形のみは登場当時、まだシングルアーム式が本格的な実用化がされてなかったのでEF200などで採用されていた形状のものが搭載されていました。N800形以降はシングルアーム式も当たり前の時代になってたので標準的な東洋電機製のものとなり、8800形の改造編成にも採用され、8900形でも近年の更新工事施工時に東洋電機製のものへ交換されました。

 

時代は冷房車が当たり前になってきてる上に、その冷房装置も合理的な形状になってくる一方で、パンタグラフのほうも進化がさらに向上、横から見ると「く」の字形をしたシングルアームパンタグラフが登場します。シングルアームパンタグラフの特徴は軽量化が図れること、保守にも手間があまりかからないこと、雪などの重みに強いこと、そして何よりも形状が非常に合理的であることです。最近の新製車は当たり前のように採用されてる上、従来からあった車両でも多くの鉄道会社で菱形などからシングルアーム式へ交換されてることも多く見られるくらいの勢いです。パンタグラフ周りには主人公的なパンタグラフのほかにも真横からのイラストから見る分にはわからないかと思いますが配線とか、これはイラスト上でも描き入れることができますがフューズボックスをパンタグラフ付近に取り付けてもよいです。実際、地下鉄車両とか地下鉄直通用という想定の車両ではフューズボックスがパンタグラフ付近の屋根上に取り付けられてる場合が多かったので。パンタグラフのみ描くのではなくパンタグラフ付近にフューズボックスも描くとより賑やかな屋根上になります。そういえば、新京成の車両でもパンタグラフ付近にフューズボックスが取り付けられてたような?

 

このシングルアームパンタグラフもまた、関東では効率の良い合理的な形状からこぞって採用したり交換されたりしてる一方で、関西では昔からの高速運転時の信頼性などからむしろシングルアームパンタグラフはあまり採用されず、下枠交差形パンタグラフなどが主流でしたが、こちらもまた現在では関東同様にシングルアーム式を採用することを方針にした鉄道会社が増加してるようです?

 

中にはこれは従来形の菱形パンタグラフですが関東の相模鉄道(相鉄)の車両では驚くべきことが見られました。それは比較的新しい車両でも戦前に設計されたPS13形パンタグラフを採用していたことです。相鉄によれば架線からの離線が起こりにくいという理由だったそうです?

 

パンタグラフもまた架空鉄道車両に取り付ける時にどういう形状にしようかを考えるのは面白いです。高速走行時の離線の起こりにくさとか見栄え、共通部品化といった標準性や保守の合理性、積雪時の対策やその鉄道会社の考え方とかの設定で、一番面白いのは新しいほうに数えられるE231系設計ベースの車両に戦前設計のPS13形パンタグラフの組み合わせがの車両でしょうか?